「我々は結局ライブバンドなんだ」——この一言を、37年間ぶれることなく体現し続けてきたグループが日本にいる。

1989年に結成されたヒップホップ・グループ・RHYMESTER(ライムスター)。

メンバーは宇多丸(ラッパー)・Mummy-D(ラッパー/プロデューサー)・DJ JIN(DJ/プロデューサー)の3人。

「キング・オブ・ステージ」という異名をほしいままにするライブパフォーマンス、「B-BOYイズム」「リスペクト」「ちょうどいい」といった時代を超えるクラシック、そして宇多丸のラジオパーソナリティとしての圧倒的な存在感。

日本のヒップホップの歴史そのものを歩んできたこのグループについて、今回は徹底的に調査した内容をお伝えします。

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RHYMESTERのメンバーについて

RHYMESTERは宇多丸・Mummy-D・DJ JINの3人から構成されるヒップホップグループです。

3人それぞれの個性と才能が、37年以上にわたってグループを支えてきました。

宇多丸(うたまる)

宇多丸は初期の名義「MC SHIRO(MC シロー)」として活動を開始し、現在は「宇多丸」名義で活動するRHYMESTERの顔のひとりです。

グループ活動と並行してTBSラジオ「アフター6ジャンクション2」のパーソナリティを務め、映画評論家としても絶大な評価を誇っています。

「ラジオ番組での活躍が認められ、第46回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞を受賞」という実績が示すように、ラッパーとラジオパーソナリティというふたつの顔を高いレベルで持つ存在です。

フィジカルとエモーションに訴えかけるライブでのパフォーマンスと、知的で鋭い批評眼が同居する宇多丸のキャラクターは、RHYMESTERという看板の大きな柱のひとつです。

Mummy-D(マミーD)

Mummy-Dはラッパーとしての活動に加え、グループのトータルディレクション、楽曲プロデュース、作編曲(作編曲家名義はMr. Drunk)まで手がけるRHYMESTERの音楽面の要です。

ソロプロジェクト「マボロシ」ではアルバムを3枚リリースし、プロデューサーとしても他アーティストへの楽曲提供や客演でヒット多数。

2024年には待望の初のソロアルバムをリリースし、大きな注目を集めました。

「最近、どんなことを考えてる?っていうところから話を始める」という制作スタンスに示されるように、社会や時代への感度の高さをグループの音楽に落とし込むキーパーソンです。

DJ JIN(ディージェイ・ジン)

DJ JINは1994年にRHYMESTERに正式加入し、現在の3人体制を完成させたDJおよびプロデューサーです。

DJ/サウンドプロデュース集団「breakthrough」を主宰し、アルバムやミックスCDなどをリリース。

「レコード盤にこだわったDJプレイ」を展開することで知られており、ヒップホップのルーツへのこだわりとライブでの圧倒的なDJプレイが、RHYMESTERのキング・オブ・ステージとしての評価を支えています。

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RHYMESTERの結成とインディーズ時代

RHYMESTERの歴史は1989年に始まります。

大学2年生の宇多丸(当時MC SHIRO名義)と新入生のMummy-Dが大学で出会い、グループを結成しました。

「日本でヒップホップが一般的に認識されるはるか前のこと」という公式プロフィールの言葉が示すように、1989年という時代はまだ日本語ラップの存在自体が知られていなかった時代です。

「日本語でラップをするための方法論を模索する日々」の中で、曲作りとライブ活動を精力的に続けながら、当時は「ライターとして雑誌に寄稿する」という形でも生活を支えていたといいます。

1993年に1stアルバム「俺に言わせりゃ」でインディーズデビューを果たし、1994年にDJ JINが正式加入したことで現在の3人体制が確立。

2ndアルバム「EGOTOPIA」でシーンのトップに躍り出た後、1998年のシングル「B-BOYイズム」と1999年の3rdアルバム「リスペクト」で日本のヒップホップシーンを代表する存在へと登りつめました。

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「B-BOYイズム」——日本語ラップのアンセム

「RHYMESTER 代表曲」「ライムスター 一番売れた曲」を調べると、必ずこの名前が出てきます。

1998年にリリースされた「B-BOYイズム」は、RHYMESTERの最大のヒット曲にとどまらず、日本語ラップ史に残るアンセムとして語り継がれています。

「B-BOY」という言葉がヒップホップカルチャーのマインドセット全体を指すこの楽曲は、日本語でヒップホップの哲学と誇りを表現するという挑戦の結実であり、「日本語でラップをするための方法論を模索した」RHYMESTERの10年近い積み上げの上に生まれた楽曲です。

この楽曲がシーンに与えた影響は計り知れず、後の世代のラッパーたちにとっての「原点」として機能し続けています。

「リスペクト」というアルバムの意味

1999年にリリースされた3rdアルバム「リスペクト」は、「結成10周年の集大成」として位置づけられた作品であり、「大ヒットを記録しキング・オブ・ステージの地位を築き上げた」とされる記念碑的なアルバムです。

「リスペクト」というタイトルには、ヒップホップカルチャーそのものへの敬意と、先人へのリスペクト、そして音楽と誠実に向き合い続けるという姿勢が込められています。

このアルバムのリリースを経て、RHYMESTERは日本語ラップシーンの「代表的存在」という確固たる地位を手に入れました。

キング・オブ・ステージとしてのRHYMESTER

RHYMESTERの最大の特徴として、メンバー自身が「自他共に認める」と語る通称「キング・オブ・ステージ」というライブパフォーマンスの圧倒的な強さがあります。

「フィジカルとエモーションに訴えかけるパフォーマンスと、当意即妙なトークによって繰り広げられるライブに定評があり」というプロフィールの表現が示すように、RHYMESTERのライブは単なる楽曲の演奏にとどまりません。

ラップスキルとエンターテインメントとしてのトーク、そして観客との一体感を生み出すDJ JINのプレイが融合した「ライブ体験」を作り上げてきたことが、37年間にわたって支持され続けている最大の理由のひとつです。

「やっぱり、オレらはライブバンドなんだ」という言葉は、RHYMESTERがどんな時代においても「ライブで勝負する」という覚悟を持ち続けてきたことを示しています。

活動休止と復活——結成20周年の再起動

2007年、日本武道館での単独公演「KING OF STAGE Vol.7」を成功させたRHYMESTERは、これを最後にグループ活動を一時休止します。

そして2009年10月、シングル「ONCE AGAIN」で本格的な活動を再開。同年11月には結成20周年イベント「R20〜RHYMESTER 20th. Anniversary」を東京・JCB HALLで開催し、2010年2月にオリジナルとしては4年ぶりとなる7thアルバム「マニフェスト」を発売しました。

活動休止を経て帰還したRHYMESTERは、停滞するどころかさらに深みと広がりを増した音楽を届け、多くのファンを驚かせることになります。

RHYMESTERと音楽の哲学——「ビューティフル」であること

2015年にリリースされた10thアルバム「Bitter, Sweet & Beautiful」の制作過程でMummy-Dが語った言葉は、RHYMESTERの音楽哲学の核心を示しています。

「ヘイト・スピーチが問題になっていた頃、みんなちょっとした価値観の違いを受け入れられなくなってきている感じがして。何が正しいかということも言いにくい時代だとも思うんだよね。ヘイト・スピーチだって『正しさ』を笠に着ているわけであってさ。こちらから『正しさ』をぶつけても問題が解決しないんじゃないかと。で、『やっぱり、醜いのはダメだよな』『美しくあろうとすることは大事』『そのぐらいは言ってもいいんじゃない?』っていう結論に何となく辿り着いて」

この発言に象徴されるように、RHYMESTERは常に「今の社会で自分たちが言うべきことは何か」を問い続けながら音楽を作ってきたグループです。

「ビューティフルには『ダーティ』も包括されてる。酸いも甘いも、そして汚いも含めて美しい、みたいな」という宇多丸の言葉は、RHYMESTERの言葉の豊かさと視点の広さを端的に示しています。

RHYMESTERとスチャダラパーの縁

「RHYMESTER スチャダラパー」という組み合わせは、日本語ラップの歴史を語るうえで欠かせないものです。

同じ黎明期に日本語ラップを切り開いてきた両者は、「同志」として長年の縁を持ち続けています。

スチャダラパーの35周年イベントでのセッションや、双方のアニバーサリーでの共演など、時代を超えた相互リスペクトの関係は今なお続いており、日本語ラップが積み上げてきた文化の深みを体現しています。

宇多丸のラジオパーソナリティとしての活動

グループ活動と並行して、宇多丸はラジオパーソナリティとしての圧倒的なキャリアを築いてきました。

TBSラジオ「シネマハスラー」での映画批評が話題を呼び、「第46回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。現在はTBSラジオ「アフター6ジャンクション2」のメインパーソナリティとして、音楽・映画・カルチャー全般にわたる幅広い話題を扱っています。

「自らを問いなおす機会があることはありがたい」という宇多丸の言葉が示すように、ラジオを通じて常に社会と向き合い続ける姿勢は、RHYMESTERの音楽が持つ知的な深みと完全に一致しています。

RHYMESTERの現在の活動状況

2019年には結成30周年を記念し、グループ史上最大規模となる47都道府県48公演に及ぶ全国ツアーを敢行し成功に導きました。

2022年9月14日にはSOIL&”PIMP"SESSIONSとのコラボアルバムをリリースするなど、活動の充実は増すばかりです。

2026年現在も精力的な活動を継続しており、J-WAVEへの出演なども確認されています。

結成37年を経てなお「キング・オブ・ステージ」の称号を体現し続けるRHYMESTERは、日本語ラップシーンの「生きた歴史」であり続けています。

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